§第５３話 デジタルデータは消える
アマチュア無線で時々悲惨な話を聞く。苦労して交信したデータ５０００局分を一瞬にして消失した
など。パソコンのトラブルである。小生は交信データを最初にパソコンに入力する時何か月も掛った
経験があるので、この局が消失したデータを復元するには多大の苦労が要るだろう。それも並行して
残した手書きのデータがあればの話で、もし手書きデータがない場合は永久に復元不可能である。
小生も苦い経験がある。ＦＭＶ-BIBLO Wiindows XP を数年使用し、デジカメ画像をぎっしり保存して
いた。バックアップする努力を全くしないままどんどん貯めこんでいたのである。
ある日、パソコン本体が急に”バリバリ”と音を立て始めた。びっくりして電源ＯＦＦ．以降ブラックボックス
になってしまった。修理でコジマに持っていくと、数日経ってメーカーの返事がきた。ハードディスクを
交換するので保存されたデータは全て消滅する。データの復元は全く不可能です。よろしいですかと
いう。ＯＫせざるを得なかった。結局３〜４年分撮影した写真は吹っ飛んでしまったのである。デジカメ
購入最初からのデータは消えたのである。フィルムカメラであればフィルムが嫌でも残るが、デジタルは
消えるのである。
結局デジタルデータはバックアップが不可欠なのである。無線データはパソコンと並行して手書きの
ログブックをつけている。この手書きが本番と考えている。写真は写真専用に作られた外付けハード
ディスクを使うことにした。（このハードディスクには注意書きがあり「あくまで1時的な記録媒体で
あり、他の媒体にバックアップを薦める」と書かれている）同時に写真は”今日の1枚”として紙焼きにし
毎日1枚アルバムに収めている。
考えればデジタルデータ（パソコンデータ）が消えるとは、アナログデータ（紙データ）が焼失するのと
同じであり、その出現確率の違いである。印刷やコピーのなかった時代では紙データは現在のデジタル
データと同じ怖さがあったのだ。そこでデジタルデータが消える怖さから回避するにはアナログに対する
コピーや印刷に相当する手段を持てばよいのだと思う。それはウェブ上のバックアップに相当する。
厳重なセキュリティで自分のサーバーにすべてを送っておけばよいことになる。いずれその時代は到来
すると思う。
その時代にはデジタルデータが消える恐怖は無くなる。
§第５４話 採用・不採用通知
その頃のことを思い出した。その頃とは会社で採用関係を担当していた頃のことである。
新卒、職安ともかなりうるさく型にはまった求人方法を厳守し応募を待つ。全く魚釣りと同じだ。
魚が食いついてくれるのを待つのは期待と不安そのものである。
採用試験が面倒臭い。筆記・知能（？）テスト・面接とこなさねばならない。元来５分も本人を見てい
ればｙｅｓかｎｏか何か掴めてくる。採用テストは形式のようなもの。採用・不採用はこちらの採用人数の
ゴロアワセのようなもの。よほど極端な欠点が出ない限り採用する。
問題はその通知の方法である。採用の場合は簡単である。郵便で出し、必要があれば電話する。
問題は不採用通知の方法である。不採用と郵便で出すのは誠にまずい。その理由をしっかり説明せ
ねばならない。不採用の理由はなんですかと必ず電話が掛かってくるのだ。従って不採用は訪問し
口頭で説明することにしていた。上げ足を取られないような言い回しを懸命に工夫した。次の言い方が
差し障りなく良好であった。
”面接した者の意見が一致しませんでした
”持っておられる素質はわが社よりも他社で活かされたほうがよいように思います”
”応募者全員よい評価でしたが、人数制限で誰かを切らざるを得ませんでした
等など、欠点を表に出さない工夫をしたのであった。
所が忘れられない不採用者の思い出がある。生駒山の麓にある高校であった。不採用通知を持って
車で訪問した。不採用訪問は嫌なものである。通された就職指導課の机で不採用通知を前に長々・
うだうだとりとめもない無駄話をして来年の応募を依頼し”ほっと”して会社に帰ってきた。
ところが会社は”来ていますよ来ていますよ”と大騒ぎになっていた。なんと応接室には泣きじゃくった
高校生がいたのである。みると先ほど就職の先生に不採用通知を渡した生徒である。先生から知らさ
れたその生徒は自転車で私の車よりも早く会社に来ていたのである。ほとほと困った、どう説明したら
納得してくれるか。本人は言うのである”家の都合でどうしても就職しなければならないのです。なんとか
採用にして下さい”と泣くのである。いったん決めたことは変更できない。どう説明したのか忘れたが
会社で扱っているステンレス家庭用品を土産に渡し帰らせた。
実際、就職問題は人生にとって大きな転機であり大事なこととつくづく感じるのである。
§第５５話 忘れるメモ
”忘れる”のは人間にとってどうしても避けられない性のようである。覚えるにはちょっと努力がいるが
”忘れる”のに努力は要らないように思える。
思いつきとか発想とかがでてきたあとしばらくしてすっかり内容を忘れている時がある。よい考えだっ
たのに思い出せないと誠にいらいらする。なんとか思い出そうと思いめぐらすが思い出せないときは
嫌である。思いだそうと時間をかけてあれこれ思いめぐらすがどうしても出てこないときがある。
この後味の悪い”忘れる”は無くしたいもの。それを実現する唯一の方法はメモすることだと思う。
メモで効果のある方法は思いついた時に即メモすること。２４時間どんなときでもすぐメモすること。
たとえ寝床にはいっていても、風呂に入っていても、トイレに入っていても這い出してメモするのを果敢
に遂行することである。この為にはメモ用紙をいたるところに配置しておくこと。
この果敢なメモ方法は効果あり、よく仕事が片付く。
§第５６話 無人で運ぶ
Ｄ社の看板方式は指定された時刻に部品を納入しなければならない。納入できないと製造ラインスト
ップになる。 ラインストップは口座停止にもなりかねない最悪の事態である。
わが社の仕入先Ｆ社はＪＲ東海道新幹線のＴ駅近郊で新大阪駅まで２時間である。
どんなトラブルか理由ははっきりしないが、Ｄ社の製造ラインに流れている試作部品がどうしても足り
ない。午後までに納入しないと重大事態に陥ってしまう。Ｆ社の人がその部品を引提げて新幹線で出張
してくれれば間に合うのである。所が生憎く出張出来る人の余裕がないという。Ｆ社の一人から提案が
出てきた。次のように言うのである。
Ｔ駅で新幹線の前から２両目の進行方向を向いて右の最前先の網棚に乗っけて置く。Ｆ社の者は
乗らない。新大阪駅で受け取ってくれという。
無人で運ぼうというのである。誠に名案、物理的には可能な方法である。折しもその頃、網棚に置か
れた荷物の爆発事件あり、大騒ぎがあったばかり。時期が悪い。車掌が頻繁に車内を循環し目を光らせ
ているのだ。
無茶なこと言わんといて！！Ｆ社のその人は「冗談、冗談！！ついて行きます」
一件落着。間に合って何事もなかった。
その後、この無人で運ぶ秘策。一度使ってみたいなとの欲望に駆られること度々だったが一度も
採用したことはなかった。
§第５７話 花は背景を撮るもの
ｗｅｂでデジカメ散歩という写真プロの連載を読まして貰っている。なにかと目の鱗がとれる話あり
啓発されることが多い。１日に本を何冊も読む凄い人である。
その中で次の話も凄い。
”司馬流とも言われる書き方、つまり、小説なんだけど随筆のようでもあり、研究書のようでもあり、
という典型である。資料集めの鬼（彼が小説を書き始めると、神田の古本屋街から、その時代を扱った
書物が消滅したと言われる。軽トラを乗りつけて買って行ったそうだ）ならではの実証スタイルが発展し
て、1200年も前の人物を、あたかも眼前に見るかのように浮かび上がらせる”・・・空海の話。
その写真プロのいうのがこの表題である。
花そのものは写真にならない。この写真はいいなと言える為には、そこにある花が示す意味、つまり
その写真を見た感想が豊かか、感動が大きいかなどが感じられねばならない。その為にはその花が
どんな環境にあるかが示されていなければならない。つまり背景が写されていなければならない。
背景はその写真を見たときの感想を与える原材料だ。
住所を示す地図を考えてほしい。最寄りの駅、目ぼしい建物などがなければ住所を示す地図になら
ない。どこまでその環境を示すかで住所地図の価値が決まる。
ことほど左様に花を撮るときの環境は大事である。
花だけに限らない。シャッターを押す時の心構えは周りをどれだけ如何に取り入れるかでその写真
の価値は決まる。
花は背景を撮るもの。上手く云い得て妙である。
・・・・・・以下 工事中・・・・・
次へ
目次へ
ＴＯＰへ